Google検索におけるサイテーションとSEOへの影響とは
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内藤誠哉
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- #SEO
SEO対策というと「被リンク」や「コンテンツの質」がよく話題になりますが、近年注目を集めているのが「サイテーション」です。
あまり耳馴染みのない言葉かもしれませんが、Google検索のアルゴリズムにおいて見逃せない存在となってきています。
特にローカルSEOでは、その効果が顕著に表れることもあります。
この記事では、サイテーションの基本からSEOへの影響、そして実践的な活用法までを、初心者にもわかりやすく解説していきます。
サイテーションとは何か?

サイテーションの定義と具体例
サイテーション(Citation)とは、直訳すると「引用」や「言及」を意味します。
SEOの文脈では、ウェブ上であなたのブランド名、企業名、商品名、サービス名などが言及されることを指します。
重要なのは、リンクが貼られていなくても、テキストとして名前が出ているだけでサイテーションとして成立する点です。
具体例をいくつか挙げてみましょう。
- 「今日は〇〇カフェでランチ。雰囲気が良くて最高でした!」とXやInstagramなどSNSで投稿される。
- 口コミサイトでのレビュー:食べログやGoogleマップで「〇〇レストランは熊本で一番美味しい」と書かれる。
- ブログやメディア記事で「熊本市でおすすめの美容院5選」という記事に、あなたのサロン名が掲載される(リンクなし)。
- タウン情報サイトに店舗名・住所・電話番号が掲載される。
- ニュース記事や地元新聞のウェブ版で、あなたの会社が取り上げられる。
これらはすべて、リンクがなくてもサイテーションとして機能します。
Googleはこうした「言及」を検出し、そのブランドの知名度や信頼性を判断する材料の一つとしています。
被リンクとの違いとは
サイテーションと被リンクは混同されがちですが、明確な違いがあります。
被リンク(Backlink)
- 他のウェブサイトからあなたのサイトへのHTMLリンク
- クリックすると、あなたのサイトに直接アクセスできる
- 従来からSEOの重要な評価要素として認識されている
- Googleがリンクをたどって評価を伝える
サイテーション(Citation)
- リンクがなくても、テキストとしてブランド名などが言及されること
- クリックしても直接サイトには飛ばない
- 近年、SEO評価において重要性が増してきている
- ブランドの認知度や信頼性を示すシグナル
関係性の整理
被リンクありでサイテーションあり:最も強力。「〇〇カフェは熊本で人気です」というテキストに、カフェのサイトへのリンクが貼られている状態。
被リンクなしでサイテーションあり:本記事の主題。「〇〇カフェは熊本で人気です」とだけ書かれている状態。
被リンクありでサイテーションなし:「こちらのサイト」や「URLそのまま」のようなアンカーテキストでリンクが貼られているが、具体的な名前は出ていない状態。
従来のSEOでは被リンクが圧倒的に重視されてきましたが、現在のGoogleは「リンクがなくても、多くの場所でブランド名が言及されている」という事実そのものを評価するようになってきています。
これは、Googleの検索アルゴリズムが「エンティティ認識」という技術を使って、単語やフレーズの意味を理解できるようになったからです。
Google検索におけるサイテーションの評価ポイント

ブランド言及とエンティティ認識
Googleの検索エンジンは年々進化しており、単なるキーワードマッチングではなく、「意味」を理解するようになってきています。その中核となる技術が「エンティティ認識」です。
エンティティとは
エンティティとは、固有名詞や概念など、明確に識別できる「実体」のことです。人名、企業名、場所、商品名、イベント名などが該当します。
例えば、「アップル」という単語を見たとき、Googleは文脈から「果物のりんご」なのか「Apple Inc.(テクノロジー企業)」なのかを判断できます。これがエンティティ認識の力です。
ブランド言及の重要性
あなたのブランド名が様々な場所で言及されることで、Googleはそのブランドを一つの「エンティティ」として認識します。
認識されたエンティティには、以下のような情報が紐づけられます。
- どんな業種・カテゴリに属するのか
- どこで活動しているのか(地域)
- どんな評判を持っているのか
- 関連する他のエンティティは何か
サイテーションが増えるということは、Googleのデータベース内であなたのブランドの情報が充実していくことを意味します。
これにより、関連する検索クエリに対して、あなたのサイトが表示されやすくなるのです。
ナレッジグラフへの影響
Googleは「ナレッジグラフ」という巨大なデータベースを持っており、世界中のエンティティとその関係性を記録しています。
サイテーションが増えることで、あなたのブランドがこのナレッジグラフに登録され、検索結果に表示される情報も充実します。
例えば、あなたの会社名で検索したときに、右側に出てくる情報ボックス(ナレッジパネル)。
これはナレッジグラフから引き出された情報です。サイテーションが多いほど、この情報が正確で充実したものになります。
ローカルSEOとの関連性
サイテーションが特に威力を発揮するのが、ローカルSEO(地域に根ざしたビジネスの検索最適化)です。
ローカルSEOでのサイテーションの役割
地域ビジネスにとって、Googleマップやローカル検索結果での上位表示は死活問題です。そして、ローカルSEOにおいては、被リンクよりもサイテーションの方が重要な場合もあります。
なぜなら、地域の店舗や企業は、ウェブサイトを持っていない場合や、更新頻度が低い場合が多いからです。
一方で、食べログ、Googleビジネスプロフィール、地域情報サイト、SNSなどで頻繁に言及されることがあります。
NAP情報の一貫性
ローカルSEOにおいて特に重要なのが、NAP情報の一貫性です。NAPとは:
- Name(店舗名・企業名)
- Address(住所)
- Phone(電話番号)
この3つの情報が、様々なウェブサイトやディレクトリで一貫して掲載されることが、ローカルサイテーションの基本です。
例えば、以下のような場所でNAP情報が統一されている必要があります。
- 自社のウェブサイト
- Googleビジネスプロフィール
- 食べログ、ホットペッパーなどのポータルサイト
- 地域情報サイト
- SNSのプロフィール欄
- オンラインディレクトリ
NAP情報が統一されていると、Googleは「これらはすべて同じ店舗を指している」と正確に認識できます。
逆に、住所の表記がバラバラだったり、電話番号が違っていたりすると、Googleが混乱し、評価が分散してしまいます。
ローカルパック表示への影響
「熊本 美容院」「渋谷 居酒屋」のような地域 + 業種のキーワードで検索すると、通常の検索結果の上部にGoogleマップと3つの店舗情報が表示されます。これを「ローカルパック」と呼びます。
ローカルパックに表示されるかどうかは、以下の要素で決まります。
- 関連性:検索キーワードとビジネスの一致度
- 距離:検索者の位置からの距離
- 知名度:ビジネスの認知度や評判
この「知名度」の判断材料として、サイテーションが大きく影響します。
多くの場所で言及され、口コミやレビューが多いビジネスは、Googleから「知名度が高い」と評価されやすくなります。
サイテーションのSEOへの具体的な影響

E-E-A-Tとの関係性
GoogleはコンテンツとWebサイトを評価する際に、E-E-A-Tという概念を重視しています。
E-E-A-Tとは
- Experience(経験)
- Expertise(専門性)
- Authoritativeness(権威性)
- Trustworthiness(信頼性)
この4つの要素が高いサイトほど、Googleから高く評価されます。
そして、サイテーションはこのE-E-A-T、特に「権威性」と「信頼性」を高める重要な要素となります。
サイテーションが権威性を高める仕組み
権威性とは、その分野において「認められている存在」であることを示します。
多くの人や媒体があなたのブランドを言及するということは、業界内で一定の地位を確立している証拠です。
例えば、医療系のウェブサイトであれば、以下のようなサイテーションが権威性の証明になります。
- 学会のサイトで研究が引用される
- 専門誌や医療ニュースサイトで言及される
- 他の医療機関のサイトで参照される
- SNSで医療関係者から言及される
これらは必ずしもリンクを伴いませんが、「このブランドは業界で認知されている」というシグナルをGoogleに送ります。
信頼性を示すサイテーション
信頼性は、そのブランドが信頼に値するかどうかを示します。特に以下のような場所でのサイテーションは、信頼性の向上に貢献します。
- 公的機関のサイト
- 大手メディアのニュース記事
- 業界団体のディレクトリ
- 顧客からの高評価レビュー
- 専門家や著名人からの言及
例えば、地元の商工会議所のサイトに会員企業として掲載されている、地域の観光協会のサイトで紹介されている、といったことも、信頼性を示すサイテーションになります。
E-E-A-Tを高める好循環
サイテーションが増える→Googleが権威性・信頼性を認識→検索順位が上がる→より多くの人に見られる→さらにサイテーションが増える
この好循環を作り出すことが、長期的なSEO戦略において重要です。
被リンクとの相互補完的な役割
サイテーションと被リンクは、どちらか一方だけでは不十分で、両方がバランスよく存在することが理想的です。
被リンクの強み
- 直接的なSEO効果が高い
- リンク元のドメインパワーを受け継げる
- クリックによる直接トラフィックが期待できる
- Googleが評価を伝達する仕組みが確立されている
サイテーションの強み
- 自然な形で獲得しやすい
- リンクを貼れない媒体(SNS、口コミサイトなど)でも効果がある
- ブランド認知と検索行動の両方に影響する
- ローカルSEOでは特に効果が高い
相互補完の例
実際のSEO戦略では、両方を組み合わせることで最大の効果を発揮します。
ステップ1:SNSや口コミサイトでサイテーションを増やし、ブランド認知を高める。
ステップ2:認知が高まった結果、ブログやメディアで言及される機会が増える。
ステップ3:その一部が被リンク付きの言及に発展する。
ステップ4:被リンクによってサイトの評価が上がり、検索順位が向上。
ステップ5:上位表示されることでさらに認知が広がり、サイテーションも被リンクも増える。
業種による重要度の違い
業種や事業形態によって、サイテーションと被リンクの重要度は変わります。
サイテーションが特に重要な業種
- 飲食店、美容院、クリニックなどの地域密着型ビジネス
- BtoC企業(一般消費者向け)
- 口コミやレビューが重視される業種
- 実店舗を持つビジネス
被リンクが特に重要な業種
- BtoB企業(企業向けビジネス)
- 情報サイトやメディア
- ECサイト
- SaaS企業
ただし、どの業種においても、両方をバランスよく獲得する戦略が最も効果的です。
効果的なサイテーションの獲得方法

自然なブランド言及を促す方法
サイテーションは、意図的に「作る」ものではなく、自然に「生まれる」ものが最も価値があります。しかし、その発生を促すことはできます。
優れたサービス・商品を提供する
当たり前のようですが、これが最も重要です。
人々が自発的に言及したくなる体験を提供すること。これに勝る方法はありません。
- 期待を超えるサービス
- 記憶に残る体験
- 話のネタになる独自性
- 共感を呼ぶストーリー
シェアしやすい環境を作る
顧客が自然にあなたのブランドを言及しやすい環境を整えましょう。
- SNSでのシェアを促すハッシュタグを用意
- 店内にフォトスポットを設置(飲食店や小売店)
- シェアしたくなる瞬間を意図的に作る(サプライズ、ユニークな演出)
- お客様の声や体験談を積極的に募集
プレスリリースの活用
新商品の発売、店舗の開店、イベントの開催など、ニュース性のある情報はプレスリリースとして配信しましょう。
- PR TIMESなどのプレスリリース配信サービスを利用
- 地域のメディア(新聞、テレビ、ラジオ)に情報提供
- 業界専門誌やウェブメディアへの売り込み
メディアに取り上げられれば、ブランド名が多くの人の目に触れ、サイテーションが増えます。
インフルエンサーマーケティング
影響力のある人物に商品やサービスを体験してもらい、自然な形で言及してもらう方法です。
- 地域のインフルエンサーに声をかける
- 商品サンプルを提供
- イベントに招待
- アンバサダープログラムの実施
ただし、過度な宣伝色が出ると逆効果なので、あくまで自然な体験と感想の共有を重視しましょう。
コミュニティへの参加
業界のコミュニティや地域のイベントに積極的に参加し、存在感を示すことも有効です。
- 地域の商工会議所や青年会議所への参加
- 業界団体への加入
- セミナーやワークショップへの登壇
- 地域イベントへのスポンサー参加
こうした活動を通じて、様々な場所であなたのブランド名が掲載される機会が増えます。
SNS・口コミ・レビューサイトの活用
SNSでのブランド言及を増やす
SNSは現代のサイテーション獲得において最も重要なチャネルの一つです。
Xの活用
- 企業アカウントを運営し、定期的に情報発信
- ユーザーの投稿をリツイートして感謝を示す
- ハッシュタグキャンペーンの実施
- トレンドに乗った投稿で露出を増やす
Instagramの活用
- 視覚的に魅力的なコンテンツを投稿
- ストーリーズやリールを活用
- 位置情報タグの追加を促す
- ユーザー生成コンテンツ(UGC)のシェア
Facebookの活用
- Facebookページを開設し、情報更新
- イベント機能を活用
- グループでのコミュニケーション
- レビュー機能の活用
口コミ・レビューサイトの重要性
口コミやレビューは、サイテーションの中でも特に価値が高いものです。
実際の利用者の声は、Googleにとっても、検索ユーザーにとっても、信頼性の高い情報源です。
Googleビジネスプロフィール
ローカルビジネスにとって最重要。積極的にレビューを集めましょう。
- 来店後にレビュー投稿をお願いする
- レビューには必ず返信する(良い評価も悪い評価も)
- 写真の投稿も促す
業種別レビューサイト
- 飲食店:食べログ、ぐるなび、Retty
- 美容:ホットペッパービューティー、楽天ビューティー
- 宿泊:じゃらん、楽天トラベル、Booking.com
- 総合:エキテン、トリップアドバイザー
これらのサイトでレビューを集めることは、直接的な集客効果だけでなく、サイテーションとしてのSEO効果もあります。
レビュー獲得のポイント
- サービス提供後の適切なタイミングでお願いする
- QRコードやリンクを用意して、投稿しやすくする
- インセンティブは慎重に(やりすぎるとガイドライン違反)
- 良いレビューには感謝の返信を
- 悪いレビューにも誠実に対応
ローカルビジネスのためのNAP情報の統一
ローカルビジネスにとって、NAP情報の一貫性は極めて重要です。
NAP情報を掲載すべき場所
以下のような場所で、必ず統一された形式でNAP情報を掲載しましょう。
必須の掲載先
- 自社ウェブサイト(全ページのフッターなど)
- Googleビジネスプロフィール
- SNSプロフィール(Facebook、Instagram、Twitterなど)
業種別ポータルサイト
- 飲食店:食べログ、ぐるなび、Retty
- 美容:ホットペッパービューティー
- 医療:病院検索サイト、EPARKなど
地域情報サイト
- タウン情報サイト
- 地域ポータルサイト
- 商店街や商工会のサイト
オンラインディレクトリ
- Yahoo!ロコ
- マピオン
- iタウンページ
- エキテン
NAP情報の統一ルール
表記を完全に統一することが重要です。以下のような細かい部分も揃えましょう。
店舗名・企業名
- 正式名称を使う
- 株式会社の位置(前株・後株)を統一
- カタカナ・英語表記の統一
- スペースの有無を統一
例:
- 良い例:株式会社山田商店
- 悪い例:山田商店、(株)山田商店、山田商店株式会社がバラバラに存在
住所
- 都道府県から記載
- 番地の表記方法を統一(ハイフンか「番」か)
- ビル名・部屋番号の有無を統一
- 全角・半角の統一
例:
- 良い例:熊本県熊本市中央区水前寺1-2-3 山田ビル2階
- 悪い例:熊本市中央区水前寺1-2-3、熊本県熊本市中央区水前寺1丁目2番3号など表記がバラバラ
電話番号
- ハイフンの有無を統一
- 市外局番の()の有無を統一
- 全角・半角の統一
例:
- 良い例:096-123-4567
- 悪い例:096-123-4567、096(123)4567、0961234567など表記がバラバラ
NAP監査の実施
定期的に、自社のNAP情報がどこにどのように掲載されているかを確認しましょう。
- Googleで「”店舗名” “住所”」で検索
- 掲載されている全ての媒体をリスト化
- 表記の不統一を発見したら、修正依頼
NAP以外の追加情報
可能であれば、以下の情報も統一して掲載しましょう。
- 営業時間
- 定休日
- ウェブサイトURL
- メールアドレス
- 業種カテゴリ
- 提供サービスの説明
これらの情報が充実し、かつ一貫していることで、Googleはあなたのビジネスをより正確に理解できます。
まとめ:サイテーションを意識したSEO戦略を
サイテーションは、従来のSEO施策である被リンクやコンテンツ作成と並んで、現代の検索エンジン最適化において無視できない要素となっています。
この記事の要点をまとめます。
サイテーションの本質
リンクがなくても、ブランド名や企業名が言及されること自体に価値がある。Googleはエンティティ認識技術により、こうした言及を評価に組み込んでいる。
特に効果的な場面
ローカルSEOにおいて、サイテーションの効果は特に顕著。NAP情報の統一は、地域ビジネスにとって必須の施策。
獲得の基本姿勢
自然な言及を促すことが最重要。優れたサービスの提供、シェアしやすい環境作り、コミュニティへの参加などが基本。
被リンクとの関係
サイテーションと被リンクは対立するものではなく、相互補完的。両方をバランスよく獲得することで、最大の効果を発揮。
E-E-A-Tとの関連
サイテーションは、特に権威性と信頼性の向上に貢献。業界内や地域内での認知度が、検索評価に反映される。
実践へのステップ
まずはGoogleビジネスプロフィールとSNSでの露出を確保。次に、NAP情報の統一と口コミ・レビューの獲得に注力。長期的には、メディア露出やコミュニティでの存在感を高めていく。
サイテーションは、一朝一夕で効果が出るものではありません。しかし、地道に積み重ねていくことで、確実にあなたのブランドの検索エンジンでの評価を高めていきます。
被リンク獲得だけに注力するのではなく、ブランドとしての認知度を高め、多くの人に言及されるような存在になること。それが、これからのSEO戦略の核となるでしょう。
よくある質問(FAQ)
サイテーションだけで上位表示は可能ですか?
サイテーションだけで検索結果の1位を獲得することは、現実的には難しいでしょう。Googleの検索アルゴリズムは、200以上の要素を総合的に評価して順位を決定しています。
サイテーションは重要な要素の一つですが、それだけでは不十分です。以下のような要素もバランスよく満たす必要があります。
- コンテンツの質と関連性
- 被リンクの質と量
- サイトの技術的な最適化(速度、モバイル対応など)
- ユーザー体験(UX)
- E-E-A-Tの向上
ただし、ローカルSEO(特定地域での検索)においては、サイテーションの重要度が相対的に高くなります。「熊本市 美容院」のような地域 + 業種のキーワードでは、サイテーションとGoogleビジネスプロフィールの充実度が、上位表示の大きな決め手となることがあります。
結論としては、サイテーションは必要条件の一つであり、他のSEO施策と組み合わせることで最大の効果を発揮します。
サイテーションはどのように確認できますか?
検索演算子の活用
Googleの検索窓で以下のように検索すると、サイテーションを見つけられます。
- 「”ブランド名” -site:自社ドメイン」:自社サイト以外での言及を検索
- 「”ブランド名” “地域名”」:特定地域での言及を検索
- 「”ブランド名” レビュー」:口コミやレビューを検索
ダブルクォーテーション(“”)で囲むことで、完全一致検索になります。
手動確認
地道ですが、以下の場所を定期的にチェックすることも重要です。
- Googleビジネスプロフィールのレビュー
- 食べログ、ホットペッパーなど業種別サイト
- 地域情報サイト
- X、Instagram、Facebookでのエゴサーチ
月に一度程度、これらをチェックする習慣をつけると、サイテーションの状況を把握しやすくなります。
NAP情報って何ですか?
NAP情報とは、ローカルビジネスにとって最も基本的で重要な情報のことです。NAPは以下の3つの英単語の頭文字です。
N = Name(名前)
店舗名や企業名のことです。正式名称を使用し、略称や愛称とは区別します。
例:
- 正式名称:株式会社山田商店 熊本中央店
- 略称・愛称:山田商店、やまだ
様々なウェブサイトに掲載する際は、必ず正式名称を使いましょう。
A = Address(住所)
店舗や事務所の所在地です。
例:熊本県熊本市中央区水前寺1-2-3 山田ビル2階
住所の表記方法にはいくつかのパターンがありますが、一つに統一することが重要です。
- 番地の表記:「1-2-3」vs「1丁目2番3号」
- ビル名の有無
- 階数の記載方法:「2F」vs「2階」
P = Phone(電話番号)
連絡先の電話番号です。
例:096-123-4567
電話番号も表記の統一が必要です。
- ハイフンの有無:「096-123-4567」vs「0961234567」
- 括弧の使用:「096(123)4567」
- 全角・半角の違い
なぜNAP情報が重要なのか
Googleは、様々なウェブサイトに掲載されているNAP情報を照合して、「これらは同じビジネスを指している」と判断します。
NAP情報が統一されていれば:
- Googleが正確に同一ビジネスと認識できる
- ローカル検索での評価が統合される
- Googleマップでの表示精度が上がる
- ローカルパックに表示されやすくなる
逆に、NAP情報がバラバラだと:
- Googleが別々のビジネスと誤認する可能性
- サイテーションの効果が分散してしまう
- ユーザーが混乱する
- 信頼性が低下する
NAP情報の管理のコツ
- 公式フォーマットを決める
社内で「これが正式な表記」というルールを明確に定めましょう。名刺、ウェブサイト、看板、あらゆる媒体で同じ表記を使います。
- 掲載場所のリストを作成
NAP情報が掲載されている全ての場所をExcelやスプレッドシートで管理しましょう。
- サイト名
- 掲載URL
- 現在の表記
- 修正の要否
- 修正日
- 定期的な監査
3〜6ヶ月に一度、NAP情報の掲載状況を確認し、不統一があれば修正依頼を出します。
- 新規掲載時の注意
新しいサイトやディレクトリに登録する際は、必ず公式フォーマットに沿って入力します。コピー&ペーストできるテンプレートを用意しておくと便利です。
- 移転・変更時の対応
住所変更や電話番号変更があった場合は、掲載されている全ての場所を速やかに更新します。古い情報が残っていると、ユーザーにもGoogleにも混乱を招きます。
NAP情報だけでは不十分
基本はNAPですが、可能であれば以下の情報も統一して掲載しましょう。
- 営業時間
- 定休日
- ウェブサイトURL
- メールアドレス
- 業種カテゴリ
- サービス内容の説明文
これらの情報が充実し、一貫していることで、Googleはあなたのビジネスをより正確に、そして高く評価するようになります。
具体的な統一例
悪い例(バラバラ):
- サイトA:山田商店 / 熊本市中央区水前寺1-2-3 / 096-123-4567
- サイトB:株式会社山田商店 / 熊本県熊本市中央区水前寺1丁目2番3号 / 096(123)4567
- サイトC:(株)山田商店 / 中央区水前寺1-2-3 山田ビル2F / 0961234567
良い例(統一):
- 全サイト:株式会社山田商店 / 熊本県熊本市中央区水前寺1-2-3 山田ビル2階 / 096-123-4567
この統一感が、ローカルSEOの基礎となります。
NAP情報の統一は地味な作業に見えるかもしれませんが、ローカルビジネスのSEOにおいては極めて重要な基礎工事です。この基礎がしっかりしていないと、どんなに他の施策を頑張っても効果が半減してしまいます。
まずは自社のNAP情報が現在どこにどのように掲載されているかを調査し、統一フォーマットを決めて、一つひとつ修正していきましょう。時間はかかりますが、確実に成果につながる投資です。
サイテーションとNAP情報の統一を意識したSEO戦略を実践することで、特にローカルビジネスは大きな成果を得られるはずです。被リンク獲得やコンテンツ作成と並行して、ぜひこの「言及される存在になる」という視点を取り入れてみてください。